熊本県熊本市 国内外の産業財産権その他の知財権の手続き及び処理サービスを提供します。<特許・実用新案・意匠・商標等>

知財の窓

意匠

なぜ意匠権を取得する必要があるか

◆物品の外観デザインも高価値を生む財産です。

意匠権は工業性のある物品の外観デザインについて独占できる権利です。商品デザインの良し悪しは、商品の売れ行きを大きく左右します。例えば、自社と他社の商品の機能がほとんど変わらない、あるいは機能が若干劣っている場合であっても、需要者が目を引くデザインであれば、商品の売れ行きアップにつながります。商品の外観は目に見えるものであるため、簡単に模倣されて不正なコピー商品が出回りやすく、自社の利益が大きく損なわれかねません。意匠権を取得することで、独自のデザインを守ることができます。

◆同一模倣品だけでなく類似する模倣品を排除できます。

意匠権は登録された意匠と同一のものだけでなく類似の範囲まで権利が及びますので、他社の模倣品を効果的に排除できます。

◆特許以外にも独占権を取得する道があります。

例えば、機能や構造に目新しい点がなく特許や実用新案で権利化が難しくても、外観形状等に特徴があれば意匠権を取得できる場合があります。

特許と意匠の違い

◆意匠は物品の外観デザインを保護します。

特許は、機能や構造等の技術的なアイデアを保護できますが、意匠は、商品の形状、模様、色彩等の外観デザインを保護できます。したがって、同じ機能や構造の商品が既に存在していても、外観デザインが新しく、独自のものであれば、意匠権を取得できる場合があります。

◆意匠は特許に比べて有利な点もあります。

(1)特許も意匠も審査を経て要件を満たしたものだけ登録されますが、特許は、出願の他に出願審査請求しないと審査されません。一方、意匠は、出願されたものは全て審査されます。したがって、意匠は出願費用だけで審査されますので、特許よりも低コストで権利化を望めます。

(2)一般的には、特許に比べて意匠の方が早期に権利化できます。

(3)特許の権利期間は通常「出願」から20年ですが、意匠権の権利期間は「出願」から25年です。特許よりも意匠権の方が独占期間が長くなります。

<参考:特許と意匠の比較の概略説明図>

特許と意匠の比較の概略説明図

特許と意匠のどちらを取得した方がよいか

◆どこに特徴があるか、何を権利化したいかで変わります。

ある製品について、機能や構造等の技術的な特徴があれば特許で権利化でき、製品の外観形状等のデザイン上に特徴があれば意匠で権利化できます。

◆両方での権利化も可能です。

製品によっては、技術的な特徴と外観的な特徴の両方を持っているものもあります。多面的で強い権利化を図るために、特許と意匠の両方について権利化することも重要です。

◆特許か意匠か迷ったら・・・

当所では、お客様のご要望、アイデアの内容、事業形態、コスト等に応じて、特許、意匠のどちらの権利化を目指した方がよいか等、個々のお客様にマッチした最適な権利化をサポートいたします。

意匠権を取得しておけば他人の模倣を防止できるか

◆意匠権に基づいて権利行使できます。

登録された意匠及びそれと類似した意匠について他社が実施した場合には、その他社製品の製造・販売を差し止めできたり、損害賠償を請求することができます。また、意匠権は、他人が独立して創作したものにも権利が及びます。

◆特許等の権利化も検討しましょう。

意匠権はあくまで外観デザインを保護するものですから、機能や内部構造については権利が及びません。つまり、他社製品の外観形状等が大きく変われば(似ていなければ)、自社製品と同じ機能を備えたものであっても意匠権では抑えることはできません。意匠権とともに特許を取得することができないかどうか検討することも重要です。

デザインを登録できるか

◆物品自体のデザイン、建築物のデザイン、機器の操作の用に供されるもの又は、機器がその機能を発揮した結果として表示した画像の部分は意匠登録できます。

例えば、椅子、スプーン、テレビ、携帯電話等の工業的に大量生産できる物品自体の外観形状のデザインであれば意匠権を取得できます。

また、壁紙等の装飾的な画像、映画・ゲーム等のコンテンツ画像など、画像が関連する機器等の機能に関係のない画像については保護されません。

◆商標登録できる場合があります。

商品等に付して他社商品との区別を図るための識別マークであれば、商標登録できる場合があります。

◆著作権で保護される場合があります。

工業製品でない絵や彫刻等の美術的なデザインについては、著作権で保護される場合があります。

多数のデザインを考えたので、全て権利化したい場合の注意事項

◆コストパフォーマンスを検討しましょう。

複数のデザインについて権利化できれば、多面的で強い権利を獲得できます。しかしながら、複数のデザインを一つにまとめて出願することはできませんので、デザインごとに出願する必要があります。多数の出願を行うことは多くの費用負担がかかりますが、個人や中小企業では難しい場合もあります。意匠権は類似範囲にまで権利が及びますので、デザインどうしの関連性や、実際に使用するデザインの重要度などを考慮して効率良く権利化することも考えられます。

◆相似形は同一意匠と考えられます。

大きさだけが異なって全体形状等が同じものは、同一の意匠となりますので一つの出願で済みます。意匠では、外観形状等の構成比率が重要となります。

◆意匠独自の制度を利用できます。

(1)関連意匠…関連する類似したデザインが複数ある場合については、関連意匠制度を利用することで強い権利が取得できます。

(2)部分意匠…例えば、カメラのレンズ部分といったデザインの一部分に創作的な特徴がある場合には、部分意匠を取得することで一部分のみの模倣を防止できます。また、全体意匠と部分意匠を併せて権利化することでより強い権利を取得できます。

(3)組物意匠…例えば、ソファーセットやオーディオ機器のように複数の物品を組み合わせて構成されるデザインの場合には、複数の物品を一つにまとめて組物意匠で権利化することもできます。

◆複数のデザインについて意匠出願すべきかどうか迷ったら・・・

当所では、効果的な出願態様の選択についてもアドバイスできますのでご相談下さい。

その他、意匠権についての注意点は何か

◆権利を維持する際の注意点。

意匠権を存続期間満了(出願から25年)まで維持するためには、毎年登録料が発生します。登録料の納付を忘れると、権利が消滅してしまいます。

当所に意匠出願をご依頼いただいた場合には、登録料納付期限の管理及び案内、納付手続といった権利取得後のサポートも行いますので安心です。